日本帝国陸海軍無線開発史

大西成美氏の「本邦軍用無線技術の概観」をベースに資料追加

4-4-23 飛5号無線機

4-4-23 飛5号無線機
本機には甲及び乙の二種がある。
甲は中距離における飛行部隊指揮官として二系統以上の通信を迅速に処理し得る能力を有するもので、飛2号無線機と同一性能を持っている。
即ち飛2号送信機二組を真空管を共通にして一組としたものが送信機であり、受信機は飛2号無線機の受信機を二組持っている。
乙は戦闘機部隊の指揮官用として飛3号と同一性能を持っていて本機と同様な構想のものが制定されたが実用に供するには至らなかった。
本機の重要諸元は次の通りである。
用途   
通信距離 
周波数  2.5~13Mc
送信機  出力   A1 25w、A2  A3 w (送信機:二周波即時切替)
         OSC  PA
     真空管 807A-807A×2
             Mod
     電源  24V蓄電器及びコンバーター
         500V230mA
受信機  方式 スーパー RF2 IF2 AF2
         RF   RF Conv  IF  IF  Det   AF   AF
     真空管 6F7(5)-6F7(5)-6F7(5)-6F7(5)-6F7(5)-6F7(5)-6F7(3)-6F7(3)×2
                               6F7(3)↑      6F7(3)↑
                   Osc        BFO
        電源  送信機と共用
空中線  固定/型 H=0.8m、
接地 機体
本無線機は、送信機は2周波切替(水晶発振)受信機の局発も水晶制御である。
99式移行の機上用無線機においては、送信用高圧をそのまま受信用に使用するため、各受信管に高抵抗によるドロッパー兼デカップリング回路を使用しているのが特徴である。
無線機接続要領図

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送信機

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受信機

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参考文献
本邦軍用無線技術の概観 大西 成美
日本無線史 第九巻 電波監理委員会
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