日本帝国陸海軍無線開発史

大西成美氏の「本邦軍用無線技術の概観」をベースに資料追加

5-3-3 候敵警戒機

5-3-3 候敵警戒機
昭和18年(1943年)度から研究を始めた。南方島嶼作戦に於いて米軍の使用していたものは、地上聴音器を用うるものであったが、地中振動子を用いると、設置に時間と労力を要するが効果甚だ絶大であるので、これら両用のものとした。
陸軍諸部隊、学校の演習に試用して好評を博し、昭和19年(1944年)完成の域に達した。
マイクロフォン及び振動子により、空中及び地中の音響(振動)を検出し、増幅、表示して敵の近接を探知、標定する装置である。
本機の重要諸元は次の通りである。
警戒面長さ  1マイクロフォン、地中振動子各50m
各10カ所1組を使用して   1,000m
有効距離   単独兵  50~70m
騎兵   85~115m
戦車等  300~350m
上聴御器は普通の炭素型送話器、地中振動子は水密鉄筒内に収容した振動子である。
第一装置は、聴御器、振動子を引込線を介して集結し、線路電流調整、断線表示等の機能を有するものである。
第二装置は、増幅器及び指示器より成り、指示器としては高声器、受話器、ブラウン管及び警報器を備えたものである。
 
参考文献
本邦軍用無線技術の概観 大西 成美
日本無線史 第九巻 電波監理委員会