日本帝国陸海軍無線開発史

大西成美氏の「本邦軍用無線技術の概観」をベースに資料追加

5-4-1 気温、湿度、気圧用ラジオゾンデ

5-4-1 気温、湿度、気圧用ラジオゾンデ
UN-30Mを使用したハートレー発振回路の同調用蓄電器を温度、湿度、気圧により変化するごとく構造し、8~11Mcの周波数を送信させ、気球に垂下して飛揚させれば、高度に応じて観測結果は発射周波数の変化となり、地上における受信機において周波数の変化となって観測せられるものである。
一飛揚毎に凡ね消耗する性質のものであるから、構造の簡易、経費の低減なることを要する。
電源は鉛蓄電池陽極板に類するものと、亜鉛陰極板とより成る2V一次電池で、希硫酸を使用時に注入する。
プレート電源は同電池によるブザー誘導線輪(バイブレータのこと)で、濾波回路を有しない。
従って発射電波A2となる。
温度計蓄電器は、小型寒暖計の水銀を1極とし、硝子管の外側に金属の筒を被ったものを地極とした構造であって、20℃における容量6pF程度、10Mc程度の周波数において、湿度10℃の変化に対して、周波数は300Kc程度変化する。
湿度計蓄電器は、毛髪の湿度による伸縮に応じて可変蓄電器の1極を変化せしむるもので、10Mc程度の周波数において、湿度10%の変化に対して170Kc程度の周波数の変化を与える。
気圧計蓄電器は、空盒の伸縮を利用して蓄電器の変化を与える。
 
参考文献
本邦軍用無線技術の概観 大西 成美
日本無線史 第九巻 電波監理委員会
JAPANESE RADIO COMMUNICATION EQUIPMENT TME11-227A