日本帝国陸海軍無線開発史

大西成美氏の「本邦軍用無線技術の概観」をベースに資料追加

4-2-1-4 15年式4号無線電信機

4-2-1-4 15年式4号無線電信機
15年式3号無線電信機の研究、審査過程に於いて、其の移動性に就き若干の改善を実施し得れば、騎兵旅団用としても亦適当なるものと認められた。
駄馬量はそれが付随する部隊の種類によって大いに異なるのであって、徒歩部隊に随伴するものは(師団通信隊、歩兵、野砲兵部隊等)に随伴するものは、概ね60瓩以下とせねばならぬ。
特に騎兵旅団用にあっては、これより派遣される捜索隊(其の行動は頗る軽快なことを要する)に附せられることがあるので一層然りである。
そこで大正12年乃至大正13年(1923-1924年)其の大改修を加味して、最終試作を行い、大正13年7月最後の試験を実施し、?に13式4号無線電信機として制式制定然るべしと決せられたのである。
然るに制式上申に関する手続き?々遅延し13式を15年式に改め、制式制定上申、昭和3年(1928年)制式として制定されたのである。
本機の重要諸元は次の通りである。
用途    騎兵用
通信距離  30Km
周波数   送信  333~600Kc
      受信  300~750Kc
方式    送信  1号型真空管4箇並列による自励発射
      受信  1号型真空管3箇使用の0-V-2
空中線   逆L型 H=6m L=25m
接地    地網 2枚
電源    送信用
       発動発電機 1HP単気筒4サイクルエンジン、直流320V +24V発電機
      受信用
       12V鉛蓄電池及び90V乾電池
本機は3号無線機の組成を変更して、騎兵用としたものであって、諸元は3号機とおなじであるが、送信電源を発動発電機としたものである。
 
参考文献
本邦軍用無線技術の概観 大西 成美
日本無線史 第九巻 電波監理委員会
十五年式四號無線電信機取扱法 兵用図書株式会社