日本帝国陸海軍無線開発史

大西成美氏の「本邦軍用無線技術の概観」をベースに資料追加

10.小型無線機(海軍編)

10.小型無線機(海軍編)
10-1 無線電話
海軍に於いて、通信の秘密保持のため、電信を主用していたが、艦隊内の運行指揮用、砲戦、水雷戦の指揮用として無線電話機をも使用していた。
中波によるものと、超短波によるものとがある。
10-1-1 中波無線電話機
2号無線電話機
10-1-2 短波無線電話機
92式短無線電話機
10-1-3 超短波無線電話機
90式無線電話機
93式超短波無線電話機
 
10-2 移動無線電信機
TM式移動無線電信機
TM式短移動無線電信機
1式短移動無線電信機
 
10-3 軽便無線電信機
一人で背負って運搬可能なトランク型無線機であり、電源及び空中線等一切を自蔵している。
陸上戦斗における近距離通信や、艦上と上陸場間、汽艇間等に使用されてほか、小型艦艇の補助無線機の意味を兼ねて、殆どの艦艇に装備されていた模様である。
空中線は繰出し式とし、その長さを調整して送信周波数に同調せしめるため、空中線電流計を有している。
つまり空中線電流の最大点に至るまで空中線を伸縮するのである。
真空管はUX112A(交流使用のときはUY76)を2個使用し、送信の場合は2個並列、自励発射とし受信の場合は1個はオートダイン検波菅、他は低周波増幅菅となる。
同調回路は送、受信共同一であり、従って送受信周波数は概ね同一である。
電源は乾電池又は交流電源の何れかを差換え使用するか、交流電源にはUX201A又はUX112Aを2本使用(2極管接続)して全波整流を行っている。
TM式軽便無線電話機
TM式中軽便無線電話機
 
10-4 試製携帯用無線電話機