日本帝国陸海軍無線開発史

大西成美氏の「本邦軍用無線技術の概観」をベースに資料追加

8-4 長短兼用送信機

8-4 長短兼用送信機
8-4-1 YT式特3号、特5号送信機
概要
いずれも明昭電機株式会社の製造にかかる自励式短波送信機である。
特3号機は出力1KWで、長波側は連結式及び簡単式両用で、特5号機は出力100Wで、長波側は簡単式である。
航空隊用のものは電源方式が、他用のものとは異なっている。
YT式特3号送信機  出力1Kw
YT式特5号送信機 出力100w

8-4-2 91式特3号、特4号送信機
概要
海軍独自の方式による長波、短波兼用送信機として91式特送信機が設計製作され潜水艦及び水上艦艇に装備実用された兵器である。
各号の出力、電源その他に就いては附録第二を参照されたい。
91式特3号送信機  出力1Kw 潜水艦及び艦艇用
91式特4号送信機  出力500w 潜水艦及び艦艇用

8-4-3 97式特5号送信機
概要
長波、短波兼用送信機の特徴を生かして、電波特に短波の安定性を向上した兵器の要望があったので、これに応えて完成したものが本機である。
本機は長波は91式特送信機と同じく、単なる自励発振型送信機であるが、短波は原振器附になっており、駆潜艇その他小型水上艦艇に装備された。
97式特5号送信機  出力150w

8-4-4 99式特3号、特4号送信機
概要
潜水艦では波浪等に因る空中線定数の変化が激しいので、発射電波の安定を期するために、原振器とし、且つ電波転換迅速確実、間隙受信容易な送信機の要望切なるものがあり、これに応ずるように設計され、東洋通信機株式会社及び日本無線電信電話株式会社に於いて製作され、量産に移され実用に供された。特3号機の出力は、1KW、特4号機の出力は500Wである。
99式特3号送信機  出力1Kw 潜水艦用 長波短波各3波を一挙動切替
99式特4号送信機  出力500w 潜水艦用 長波短波各3波を一挙動切替
 
参考文献
本邦軍用無線技術の概観 大西 成美
日本無線史 第十巻 電波監理委員会