日本帝国陸海軍無線開発史

大西成美氏の「本邦軍用無線技術の概観」をベースに資料追加

9-2 短波受信機

9-2 短波受信機
9-2-1 89式短受信機
概要
昭和4年制定された89式短受信機は、15式2号受信機を取扱い簡単なように改造したもので、その性能は大体同じであるが、改善された点も少なくない。
3極管によるニュートロダイン方式高周波増幅1段、再生検波、低周波増幅2段のストレート受信機である。


9-2-2 91式短受信機
概要
本機は周波数範囲3,000乃至20,000Kcでコイルを自蔵し、UY36、37等の6V級傍熱菅を使用する高周波2段増幅、再生検波、低周波2段増幅、翼板検波(陽極整流のことか)受信機で、電源は直流100V及び6Vを使用するものである。
 

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9-2-3 92式短受信機陸上用
概要
この受信機は陸上用大型の短波受信機で、空間合成法受信が出来、且つ受聴器及び現字器両用のものである。


9-2-4 97式短受信機
概要
本機は艦船用短波専用受信機として研究設計されたもので、周波数範囲3,000乃至20,000Kc、高周波4段増幅、検波、低周波3段増幅のストレート式受信機である。
ターレット切替による線輪自蔵で、前置選択器(プリセレクター)、出力制限器(リミッター)、間隙受信装置等を有し、電波も安定で、従来用兵側から提出された要求を相当数満足するものであった。
しかし構造稍複雑で製造に工数を要する等のことあり、太平洋戦争に突入してからは、資材工数の節用が叫ばれ、余り多くは製造されなかった。

 

9-2-5 仮称97式短受信機陸上用
概要
陸上用で周波数範囲3,000乃至30,000Kcで、高速度受信装置(最高和文10,000字毎分)と組合せ使用せられた。
 

参考情報

 

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参考文献
本邦軍用無線技術の概観 大西 成美
日本無線史 第十巻 電波監理委員会

船の科学 シリーズ・日本の艦艇・商船の電気技術史 艦艇の無線兵器および電波兵器