4-3-9 94式4号丙無線機
昭和8年(1933年)度から本格的研究に着手した。
本機は89式中戦車に装備するものであるが、中戦車に無線装備の考慮のなかったこと、これに依って生じた不便困難等は概ね94式4号乙無線機の場合と全く同様であった。
本機に対する作戦上の要求は、前述94式4号乙無線機及び後に記す96式4号戊無線機と略々同様であって、従ってこれら3種の車輛が始めから無線装備を考慮に入れ、これがため必要な空席を設計して置いたとしたらおそらく同種無線機唯一種で事足りたであろう。
考慮なく作られた後に於いて無線装備のため利用し得る空席を捜したのでは孰れも狭隘な車内、通信機は三種三様とならざるを得ないのであった。
この不合理に鑑み、将来車輛にして無線装備を要するものの研究審査に方っては、無線兵器の研究審査機関に予め意見を求むべきことを夫々の関係方面に強く指示し、取り敢えず現況に即しては、可及的に部品、方式等を統一し、整備補給、教育等の単純化を図ったのである。
前記三種の中、本機は設計最も困難なものであった。
それは戦車内の利用し得べき空間が、巾及び高さは適当であったが、奥行100㎜以上となし得なかったからである。
本機の重要諸元は次の通りである。
用途 戦車用
通信距離 A3 1Km
周波数 4,200~4,600Kc
送信機 出力 A3 2~3W
OSC
真空管 UY47B×2(グリッド変調)
電源 12V蓄電池及び250V80mAコンバーター
受信機 方式 スーパー RF1 RF2 AF1
RF Conv IF IF Det, AF
真空管 78-6A7-78-6F7-6B7-41
(6F7の3極部は変調兼車内通話用と思われる)
電源 送信機電源と共用
空中線 1型 H=2m、L=5m
接地 車体
本機の空中線は前記の如く逆L型を制式とするが、実用部隊に於いて敵に目標を呈すと云ってこれを忌避するに至った。
隅々情報によりソ連軍戦車が砲塔の上周に手摺型空中線を装しあるを知り、爾後専ら応用空中線としてこの形式を採用したが、戦車攻防に関する研究進むに従って、この手摺型空中線は敵の肉薄攻撃に対して有利なる手掛かりを呈するから、不都合であると云うことになった。
然るに独陸軍の電撃作戦に声名を馳せたその機械化部隊の戦車が、孰れも稍々長大なる可撓性細金属管の垂直空中線を装するのを知るに及び、先に避難した敵に目標を呈すると云うことを撤回し、垂直空中線使用に同意するに至ったのである。
自国自軍の技術を信ぜず、欧米各国のことと云えば何事によらずこれを信じて是とし、模倣しようとする弊風の一例と云えるであろう。
本機は89式中戦車に装備するものであるが、中戦車に無線装備の考慮のなかったこと、これに依って生じた不便困難等は概ね94式4号乙無線機の場合と全く同様であった。
本機に対する作戦上の要求は、前述94式4号乙無線機及び後に記す96式4号戊無線機と略々同様であって、従ってこれら3種の車輛が始めから無線装備を考慮に入れ、これがため必要な空席を設計して置いたとしたらおそらく同種無線機唯一種で事足りたであろう。
考慮なく作られた後に於いて無線装備のため利用し得る空席を捜したのでは孰れも狭隘な車内、通信機は三種三様とならざるを得ないのであった。
この不合理に鑑み、将来車輛にして無線装備を要するものの研究審査に方っては、無線兵器の研究審査機関に予め意見を求むべきことを夫々の関係方面に強く指示し、取り敢えず現況に即しては、可及的に部品、方式等を統一し、整備補給、教育等の単純化を図ったのである。
前記三種の中、本機は設計最も困難なものであった。
それは戦車内の利用し得べき空間が、巾及び高さは適当であったが、奥行100㎜以上となし得なかったからである。
本機の重要諸元は次の通りである。
用途 戦車用
通信距離 A3 1Km
周波数 4,200~4,600Kc
送信機 出力 A3 2~3W
OSC
真空管 UY47B×2(グリッド変調)
電源 12V蓄電池及び250V80mAコンバーター
受信機 方式 スーパー RF1 RF2 AF1
RF Conv IF IF Det, AF
真空管 78-6A7-78-6F7-6B7-41
(6F7の3極部は変調兼車内通話用と思われる)
電源 送信機電源と共用
空中線 1型 H=2m、L=5m
接地 車体
本機の空中線は前記の如く逆L型を制式とするが、実用部隊に於いて敵に目標を呈すと云ってこれを忌避するに至った。
隅々情報によりソ連軍戦車が砲塔の上周に手摺型空中線を装しあるを知り、爾後専ら応用空中線としてこの形式を採用したが、戦車攻防に関する研究進むに従って、この手摺型空中線は敵の肉薄攻撃に対して有利なる手掛かりを呈するから、不都合であると云うことになった。
然るに独陸軍の電撃作戦に声名を馳せたその機械化部隊の戦車が、孰れも稍々長大なる可撓性細金属管の垂直空中線を装するのを知るに及び、先に避難した敵に目標を呈すると云うことを撤回し、垂直空中線使用に同意するに至ったのである。
自国自軍の技術を信ぜず、欧米各国のことと云えば何事によらずこれを信じて是とし、模倣しようとする弊風の一例と云えるであろう。