日本帝国陸海軍無線開発史

大西成美氏の「本邦軍用無線技術の概観」をベースに資料追加

5-2-2 94式5号型特殊受信機

5-2-2 94式5号型特殊受信機
マルコニ短波方向探知機の研究中、逓信省電気試験所技師難波捷吾及び同塚田太郎の創意による短波方向探知機も亦優秀にして、研究の参考とするに足るものと認め、これが試作を電気試験所に委託した。
昭和9年(1934年)3月試作完了したので、直ちに両者の比較試験を実施した結果、共に満足すべき成績を得られず、マルコニ式の空中線を電気試験所式のH型空中線に代えたものが機能最も良好であった。
爾後難波技師及び安立電気株式会社技師磯英治の協力の下に、十数回の試験を重ね、94式及び96式各号無線機、94式3号型特殊無線機等と共に昭和11年(1936年)94式5号型特殊受信機として制式制定を見た。
本機の重要諸元は次の通りである。
周波数   1.5~20Mc
受信機
方式    スーパヘテロダイン RF1 IF2 AF2
真空管   RF Conv  IF  IF  Det   AF  AF
      134-135-134-134-111A-109A-133A
 電源    平角3号×2(1.5V) B18号×6(135V) C4号(-6V) 
空中線   H型直交アドコック空中線
H=6m D=6m
センス決定用としてL=2.5m 垂直型
ゴニオメーター  周波数範囲により2組を切替
 
参考文献
本邦軍用無線技術の概観 大西 成美
日本無線史 第九巻 電波監理委員会