日本帝国陸海軍無線開発史

大西成美氏の「本邦軍用無線技術の概観」をベースに資料追加

4-3-15 94式対空2号無線機

4-3-15 94式対空2号無線機
昭和7年(1932年)から研究に着手した。
初め10号丙無線機として同甲無線機と殆ど同構造とし電話のため変調器を接続し得るようにし、又空中線高を94式1号無線機等と同じにした。
そして10号甲無線機の送信機を改良して軽量小型化したが本機の送信機は旧の儘で進んだのである。
これは本機が電話を必要としたからである。
用途   対飛行機通信用
通信距離 A1 600Km  A3 300Km
周波数  送信  950~7,500Kc(常用1,500~5,700Kc)
     受信  140Kc~15Mc
送信機  出力 A1、A3 150~200w
          OSC  Buff   PA
     真空管 Uf210B-UX860-UV860×2
         UX12A-UX12A-UX12A×2-UF201B-UV849
          AF  AF   VODAS   AF   Mod
     電源  5Hp 2サイクルガソリンエンジン
         2,200V1.1Kw、12V190w発電機
受信機  方式 スーパー RF1 RF2 AF2 (94式1号無線機のものに同じ)
         RF Conv IF  Det  AF  AF 
     真空管 134-135-134-111A-109A-133A
     電源  平角3号×2(1.5V) B4号×3(135V)C4号(-6V)
日本無線史では受信機は上記仕様であるが、実際は下記の仕様となっている。
受信機  方式 スーパー RF1 IF2 AF1
         RF  Conv IF   IF   Det  AF 
     真空管 UZ78-6L7G-UZ78-6B7(5)-6B7(2)-UZ41 
                     UY37↑              UY37↑
             Osc                BFO
     電源  6V蓄電池及び250Vコンバーター
空中線  逆L H=12m、L<35(使用周波数に応ず)
     地線 25m 6条
交流電力使用可能の時、220V3Φ3Hp誘導発電機と直流発電機を組合せたものを附加する。
A3変調器は別個の筐体に組成され、必要に応じて使用される。
本無線機2型にあっては、受信機は後述の地2号無線機用受信機と殆ど同一のものを使用した。
※VODAS ;Voice Operated Device Anti-Singing の略で、無線回線と有線回線とを結合する場合に送受話回線を分離する端局装置をいい、鳴音(Singing)や反響などの妨害を防ぐため反響阻止装置を設けている。
無線機接続要領図

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送信機

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受信機

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発動発電機
 
参考文献
本邦軍用無線技術の概観 大西 成美
日本無線史 第九巻 電波監理委員会
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