日本帝国陸海軍無線開発史

大西成美氏の「本邦軍用無線技術の概観」をベースに資料追加

4-3-5 94式3号丙無線機

4-3-5 94式3号丙無線機
本機も亦94式3号甲無線機と略々併行して研究された。
即ち初期の11号無線機の送信機には4極真空管を用いていたので、本機に要求されている電話は、遮断グリッド変調で行い、相成るべくは甲、乙、丙3種共通のものとし電話のため簡単な変調器を外付にし、以て整備、補給、教育を単純ならしめんとしたのである。
然るに本機は対空用で相手は飛行機であるから通信特に電話の質は最良を要するわけである。
当然本機は逐次甲及び乙機と相違するものに移り行かなければならなかった。
本機の重要諸元は次の通りである。
用途   対空通信用(砲、騎兵、師団通信隊)
通信距離 騎兵用50Km 
周波数  送信  400~5,700Kc(常用 1,500~2,500Kc)
     受信  300Kc~5,700Kc
送信機  出力 A1 A3 5W
          OSC  PA 
     真空管 UY47B-UX202A(陽極変調)
          AF  Mod ↑
         UY47B-UX202A
     電源  手回発電機 64w
         400V100mA 8V 3A
受信機  方式 スーパー RF1 RF2 AF2
         RF Conv IF  Det  AF AF 
     真空管 134-135-134-111A-109A-133A
     電源  平角3号(1.5V) B18×6(135V) C129号(-6V)
空中線  逆L型 H=5m、L=20m
     地線 20m 
整備数  730
本機は対空用として空地間通信に使用するものであるから、電話使用時の機能を良好ならしめるために努めている。
 
無線機接続要領図

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送信機

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受信機
 
参考文献
本邦軍用無線技術の概観 大西 成美
日本無線史 第九巻 電波監理委員会
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