日本帝国陸海軍無線開発史

大西成美氏の「本邦軍用無線技術の概観」をベースに資料追加

4-4 爾後の制式無線機

4-4 爾後の制式無線機
94式及び96式無線機の制定後、直ちに改良型の無線機に関する研究が開始されたが、所謂電波兵器の研究整備に重点がおかれたのと、戦災其の他による障害のためその進捗がおくれたため、また、94式機材に対する信頼感が強く、実施部隊において制式改正を喜ばなかったため、地上部隊用としては僅かに数種の機材が制式化、装備されたにすぎなかったが、航空部隊用ことに飛行機用においては相当数の機種が制定、整備された。
この期における研究の目標として
1.通信を容易にするため、電信においてブレークイン、電話において同時送受話又はプレストーク方式とする。
2.水晶片資源の枯渇に対応して、自励発振による周波数の安定化を図る。
3.移動中の通信を可能ならしめる。
4.高級機種については電信又は電話による通信のほか、高速度通信、秘密通信、テレタイプ、ファックス、書画伝送等も可能ならしめる。
5.真空管の種類を可及的に少なくする、受信管にあっては、6V級に6D6を主とし、Ut6F7は使用真空管数の制約を受ける機種に多く使用され、5極管部は高、中間周波増幅、検波、周波数変換に、3極管部は局部発振、低周波増幅(出力段はこれをプッシュプルとして)に用いられ、全真空管をこれ1種のみを以て構成するものも現れた。
乾電池用としては万能5極真空管UY11Aを開発、また送信菅はUY807A、同管の直熱型としてUY507のほか、P-500などいわゆるPシリーズの5極管が作られた。
前記のごとく、制式化、実用されたものは航空部隊用を除いてあまり種類は多くないが、比較的近代化な組成になっており、また技術的にも興味があると思われるので、試作に止まったものについてもその概要を述べてみたい。
 
4-4-1 超重無線機甲
4-4-2 超重無線機乙
4-4-3 重無線機甲
4-4-4 重無線機乙
4-4-5 中無線機
4-4-6 軽無線機用
4-4-7 3式車輛無線機甲
4-4-8 改修車輛無線機甲
4-4-9 3式車輛無線機乙
4-4-10 車輛無線機丙
4-4-11 舟艇無線機甲
4-4-12 地1号無線機
4-4-13 地2号無線機
4-4-14 地3号無線機
4-4-15 地4号無線機
4-4-16 99式飛1号無線機
4-4-17 飛1号無線機中波送信機
4-4-18 96式飛2号無線機
4-4-19 99式飛2号無線機
4-4-20 99式飛3号無線機
4-4-21 4式飛3号無線機とム-4
4-4-22 飛4号無線機
4-4-23 飛5号無線機