日本帝国陸海軍無線開発史

大西成美氏の「本邦軍用無線技術の概観」をベースに資料追加

トリオ製トランシーバTS-500の修理記録(その3)

トリオTS-500の修理記録(その3)


受信機部の試験には、7MHzのバンドでしか試験していなかったので、まず全バンドでの試験を実施しました。
バンドスイッチの接触不良もあり、何度もバンド切り替えを実施することにより、28MHzバンド以外良好に受信することができました。
28MHzバンドは第一OSCが発振していないのが故障原因でしたので、早速予備機の水晶発振子を交換することにより復旧しました。

Ts50070


受信機能としてはOKとなりましたが、マーカーで確認するとVFOの周波数が15KHzほどずれていましたので、校正することとしました。
取扱説明書にもありますが、VFO裏面のダストコアーとトリマーコンデンサーの微調整でメモリ校正します。
まさにアナログ技術ですが、マーカーさえあれば、周波波読み取りでもディジタル機とも遜色ありません。

Ts50071


Ts50072


Ts50073


Ts50074


参考ですが、マーカーと受信機の高周波増幅段のグリッドへの接続は、昔アマチュアがよくやっていましたが、ねじり線による接続です。
メーカー製の実装では、初めて拝見しました。

Ts50075


Ts50076


RIT機能など細かな試験も確認がとれたので、後はエージングによる長時間連続運用試験にはいります。

Ts50077


Ts50078


ここまでの修復の感想ですが、想定外ですが水晶発振子を2個も交換しました。
それ以外の部品は、ほとんど故障品もなく、安定してます。
VFOが一般のトランシーバと比較して高い周波数なことから安定度が低いとおもっていました。
ところが、思ったよりは安定しており、また、高感度なので一般運用でも問題がないように感じられます。