1式空3号隊内無線電話機の修復作業記録 その1 (2018年09月23日)
入手と修復準備について
昭和59年(1984年)のころのことであるが、広島市から少し西方に地御前というところがあるが、出張でたまたま同僚とそこを歩いていると家人が大量の電機製品を捨てているのに出くわした。
なんとなく近寄ってよく見ると、大量のST管と金属管や無線機の残骸、メータ類であった。
真空管無線機やラジオを卒業して10年以上たっているし、普通ならそのまま見過ごしてしまうところなのだが、よくよく見ると金属管も無線機の残骸も旧軍関係の無線機に違いないと確信した。
といっても、旧軍関係の無線機など今まで見たこともない。
後で判明したのであるが、その一つが、本機の1式空3号隊内無線電話機であったが本体のみでケースは残念ながら附属していなかった。
既に30年以上経過したが、この間ネットで関連部品の入手に努めたが、復元作業にはほど遠い状況である。
そうこうしている間、特注の海軍色の濃緑色のラッカースプレイーの保存期間がリミットのようなのでなんらかの修復を始めざるをえない羽目となった。
修復作業について
ケースがなくて修復作業が進まなかったことが原因であったのだか、今回1式空3号隊内無線電話機改1のケースを流用するこことした。
ただし、改1は真空管を大型化したためサイズが大幅に拡張されており、そのままでは本体を収容することができない。
このため、ケースと本体間にL型のアルミ板を切り出し、アダプターとすることでなんとか本体を収容できると判断した次第である。



今回は、完全修復ではなく、再塗装のみとし、不足部品である電流計、銘板、水晶片、真空管(一部米軍のものを使用)やランプ類を整備するこことした。
再塗装のためには、取り外せる部品は極力外すことが肝要であるが、どうしても部品プレート(アルミのリベット止め)などの部品ははずせない。
螺子も経年の錆で外せないものもある。
剥離剤も70年も経過した無線機の塗装は簡単に剥離できそうもない。
本機のような修復には、いろいろ妥協も必要のようだ。









本機は完全修復作業を果たすことが出来ず、再塗装のみとなったことは、誠に残念であり、死に装束させている気持ちにならざるを得ない。






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