日本帝国陸海軍無線開発史

大西成美氏の「本邦軍用無線技術の概観」をベースに資料追加

陸軍無線開発史

4-2-1-8 87式対空用2号無線電信機

4-2-1-8 87式対空用2号無線電信機本機の重要諸元は次の通りである。用途 対飛行機用(大型機を主とす)通信距離 対飛2号機300Km周波数 送信 900~1200Kc 受信 600~4000Kc空中線 逆L型 H=21m L=51m接地 地網 4枚電源 送信用 自動車用発動機及び蓄電池…

4-2-1-7 87式対空用1号無線電信機

4-2-1-7 87式対空用1号無線電信機本機の重要諸元は次の通りである。用途 対飛行機用(中型機を主とす)通信距離 対飛1号機100Km周波数 送信 100~2000Kc 受信 100~2000Kc空中線 T型 H=9m L=30m接地 地網 4枚電源 送信用 蓄電池及びコンバーター 受信…

4-2-1-6 87式6号無線電信機

4-2-1-6 87式6号無線電信機15年式3号無線電信機の研究、審査過程に於いて、其の属品等に若干の加除を施せば、対空用として亦適当なるものと認められた。(波長範囲は将来制定されるべき偵察機用無線機と合致せしめること勿論である。)然るにこれと対…

4-2-1-5 15年式5号無線電信機

4-2-1-5 15年式5号無線電信機仏国陸軍制式E型無線機を参考として独自に試作した戊型機に就き数次に亘る試験を実施した結果、歩、砲兵用として適当なるものと認め、これに所要の改修を加え、大正12年(1923年)12月通信試験及び混信分離試験を行い、更…

4-2-1-4 15年式4号無線電信機

4-2-1-4 15年式4号無線電信機15年式3号無線電信機の研究、審査過程に於いて、其の移動性に就き若干の改善を実施し得れば、騎兵旅団用としても亦適当なるものと認められた。駄馬量はそれが付随する部隊の種類によって大いに異なるのであって、徒歩部隊…

4-2-1-3 15年式3号無線電信機

4-2-1-3 15年式3号無線電信機仏国陸軍制式E10型無線機を範として試作したT型機に就き数次に亘る試験を実施した結果、師団通信隊用として適当なるものと認め、これに所要の改修を加え、大正12年(1923年)12月通信試験及び混信分離試験を行い、更に構…

4-2-1-2 15年式2号無線電信機

4-2-1-2 15年式2号無線電信機仏国陸軍制式E13型無線機を範として試作した甲型機に就き数次に亘る試験を実施した結果、軍通信隊用として適当なるものと認め、これに所要の改修を加え、大正13年(1924年)1月通信試験及び混信分離を行い、更に補修して…

4-2-1-1 87式(15年式)1号無線電信機

4-2-1-1 87式(15年式)1号無線電信機英マルコニ製YC型無線機の改修型であるZC形無線機をそのまま輸入し、制式として採用したのが15年式1号無線機であり、これらの受信機、波長計、蓄電池等に改修を加えたのが87式1号無線機である。本機の重要諸元は…

4-1-2 Y型機上用送信機及びA型地上受信機

4-1-2 Y型機上用送信機及びA型地上受信機本機の重要諸元は次の通りである。用途 飛行機用通信距離 数10Km方式 送信 ロータリー火花式 受信 鉱石受信機式電源 風車発電機 交流1Φ 900c/s 4.500R.P.M 50V 125W空中線 全長100m 垂直型 この無線機は、機上送…

4-1-1 乙種移動式無線電信機

4-1-1 乙種移動式無線電信機 第一次制式 軍通信隊用無線機の研究に着手するにあたって、騎兵旅団との通信連絡を最重要のものとし方針を立てなければならない。然るにテレフンケン会社より購入した当時、最も軽快であった無線機も、騎兵旅団の行動に随伴…

4-4-6 軽無線機

4-4-6 軽無線機研究の由来及び目的昭和13年(1938年)5月研究に着手した。94式4号甲、同丁、94式5号無線機を統合刷新し、第一線各兵用単一無線機を創出することを目的とした。構造及び機能の概要通信機及び電源の組成は全く中無線機と同様である。空中…

4-4-5 中無線機

4-4-5 中無線機研究の由来及び目的昭和13年(1938年)5月研究に着手した。94式3号甲、乙及び丙無線機を統合改良したものを創出することにあった。構造及び機能の概要通信機は送信機、受信機、附属品、予備品等より成り立っている。電源は送信用として…

4-4-4 重無線機乙

4-4-4 重無線機乙研究の由来及び目的94式2号乙無線機を改良する目的を以て昭和13年(1938年)5月研究に着手した。構造及び機能の概要通信機は送信機、受信機(2機、1ボルト級受信管を使用するもの、6ボルト級受信管を使用するもの各1機)附属品、予備…

4-4-3 重無線機甲

4-4-3 重無線機甲研究の由来及び目的本機は昭和13年(1938年)5月机上研究に着手したが、当時その必要性不急のものであったので間もなく研究を中止した。昭和15年(1940年)4月実際的研究に着手した。而して研究の目的は機械化部隊司令部及び本部用と…

4-4-2 超重無線機乙

4-4-2 超重無線機乙本機は前述の如く初め超重無線機甲として研究を着手したもので、中途超重無線機となり更に超重無線機乙と改称されたものである。研究の由来及び目的本機は94式対空1号無線機の刷新機として昭和13年(1938年)5月研究に着手したもの…

4-4-1 超重無線機甲

4-4-1 超重無線機甲 研究方針に示された超重無線機甲は大体94式対空1号無線機、超重無線機乙は94式1号無線機の相当機であったが、実戦の経験から、超重無線機乙は要度大ならざるものと認められ、これを一時廃止し、超重無線機甲を超重無線機として研…

4-3-17 96式飛3号無線機

4-3-17 96式飛3号無線機 昭和7年(1932年)度から研究に着手した。数次に亘る試作、試験、改修等を経て昭和10年(1935年)審査を完了したものである。本機を装備するのは単座戦闘機であるので、試験には特に困難を感ずることが88式飛行機用3号無線電…

4-3-16 94式飛2号無線機

4-3-16 94式飛2号無線機 昭和6年(1931年)度から研究に着手した。数次に亘る試作、試験、改修等を経て昭和9年(1934年)審査を完了したものである。本機の重要諸元は次の通りである。用途 中型及び大型飛行機用通信距離 600Km周波数 送信 960~6,675…

4-3-15 94式対空2号無線機

4-3-15 94式対空2号無線機 昭和7年(1932年)から研究に着手した。初め10号丙無線機として同甲無線機と殆ど同構造とし電話のため変調器を接続し得るようにし、又空中線高を94式1号無線機等と同じにした。そして10号甲無線機の送信機を改良して軽量小…

4-3-14 94式対空1号無線機

4-3-14 94式対空1号無線機 昭和6年(1931年)度から研究に着手した。本機は94式及び96式移動無線機の先頭を切って研究を開始されたもので、当時水晶制御方式送信機は固定式無線機に限られていたから、基準模範を得るに便利だったからである。そして概…

4-3-13 96式7号無線機

4-3-13 96式7号無線機 昭和9年(1934年)度から研究に着手した。輸送船団の航行中、各輸送船搭乗指揮官間の通信連絡は最も必要であって、しかも企図秘匿上極度の秘密性を要するのである。従来無線は電波諜報の発達した今日使用すべくもなしと解され、…

4-3-12 94式6号無線機

4-3-12 94式6号無線機 昭和8年(1933年)度から本格的研究に着手した。当初周波数の要求数は25であったので周波数帯を25,000~30,000Kcとし、移動式無線機で最も用途の不明確であった超短波帯に隣接する短波帯利用を図った次第である。然るに本機の使…

4-3-11 94式5号無線機

4-3-11 94式5号無線機 昭和8年(1933年)度から本格的研究に着手した。最初の設計に対して大いなる変更の要求又必要も生ぜず、概ね順調に研究を終始し得た。本機の重要諸元は次の通りである。用途 歩兵用通信距離 10Km周波数 900~5,000Kc(常用 1,00…

4-3-9 94式4号丙無線機

4-3-9 94式4号丙無線機 昭和8年(1933年)度から本格的研究に着手した。本機は89式中戦車に装備するものであるが、中戦車に無線装備の考慮のなかったこと、これに依って生じた不便困難等は概ね94式4号乙無線機の場合と全く同様であった。本機に対する…

4-3-8 94式4号乙無線機

4-3-8 94式4号乙無線機 昭和8年(1933年)度から本格的研究に着手した。本機を装備する92式重装甲車は、元来無線装備に付き何等考慮することなく操縦、戦斗をのみ主眼として設計制式となったものであるが、後に起こった無線装備の要求に対して万事不都…

4-3-7 96式3号己無線機

4-3-7 96式3号己無線機 我が陸軍は上陸作戦を最重要視し、大正末期から逐次海運資材の機械化に努め、偵察艇、装甲艇、大発動艇、小発動艇の小舟艇も漸次整備せられるに至った。偵察艇、装甲艇はその任務上これに無線を装備する必要があるので、昭和初…

4-3-6 94式3号丁無線機

4-3-6 94式3号丁無線機 昭和9年(1934年)度から研究に着手した。本機に対する要求は主として左の2点を除き概ね94式3号乙無線機と同じであったので研究は急速に終了に向かった。1.受信機の周波数帯幅2.運搬法、全装置を駄馬一頭に駄載するためその組成…

4-3-5 94式3号丙無線機

4-3-5 94式3号丙無線機 本機も亦94式3号甲無線機と略々併行して研究された。即ち初期の11号無線機の送信機には4極真空管を用いていたので、本機に要求されている電話は、遮断グリッド変調で行い、相成るべくは甲、乙、丙3種共通のものとし電話のため簡…

4-3-4 94式3号甲無線機

4-3-4 94式3号甲無線機 昭和7年(1932年)度から研究に着手した。満州事変に於ける諸作戦に於いて15年式3号無線電信機は機能良好であるが、鈍重であるから隅々駄馬も通じない処へも行かなければならない要求に適さない。依って軽易に人背によって運搬…

4-3-3 96式2号戊無線機

4-3-3 96式2号戊無線機 昭和10年(1935年)度から研究に着手した。要求された性能の類似から主要部は94式2号丁無線機と同一のものとすることに努めた。本機は装甲軌道者(鉄道作戦に使用するもので装備により鉄道-広軌-線路上も装甲し、又必要に応じ…